藤子・F・不二雄先生の「ドラえもん」が好きな父を失踪で失った高校生の理帆子。夏に図書館で出会ったのは、自分の写真を撮らせて欲しいと言った青年だった。藤子先生がSFを「少し・不思議」と表現したように、周りの人を「少し・○○」と表現する理帆子が彼に付けたのは・・・。
そして、別れた元彼・若尾が次第に自分の領域にまで入り込んでくる。
ドラえもんの道具とSFになぞらえた物語の行方は・・・。
自分も周囲を俯瞰して見てしまうので、理帆子のようなやや冷めた感覚というのが共感できました。自分をSFで表現するなら「少し・普通」なのかもしれません。
若尾の変わっていく姿が気持ち悪く、また恐く書かれていたのですが、結構現実世界でもこのような感じだと思い、的を得ていると思いました。
お母さんの葬儀の時に立川が郁也から預かったドラえもんの巾着袋を渡すシーンがとても良かったですね。
映像化されたら涙が出るかも。
500ページ強でボリュームがあるのですが、その分読みごたえがありました。