どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『アムステルダム・ヘブン/又井健太』

f:id:yossan-tsubuan:20190223224833j:image

司法試験に15回落ちて、自殺をしようとしていた賢治は、偶然AVの撮影現場に遭遇してしまい、そこでひとりのAV女優と出会う。桜田真央というその女優との出会いが賢治の運命を変え、ブラック企業で勤務したものや、うつ病を煩っている者が集まってホワイト企業を起ち上げることに。

面白かったです。構成もしっかりしており、物語の展開のテンポもいいのでスラスラと読めますね。登場人物の描写もしっかり書かれており、賢治から話は始まっていますが、他の人も負けないくらい個性豊かです。特に、松崎が翔子をスカウトしたときに思った西遊記のくだりが完璧でした。

また、「未来は麻薬だ。」という言葉が深いですね。夢ばかり妄想して何も行動しない。だから今を楽しみ感謝することに全力を尽くせという意味なのですが、確かに「未来」は「今」の積み重ねなのでしょう。

最後のターバン野口の言葉である「世界へ逃げろ」も印象的でした。逃げることはそんなに簡単にできることではないのですが、そっと背中を押してくれるだけで一歩前に進めることもあるでしょうし。

AV業界がテーマなので抵抗がある人もいると思いますが、作者自身の経験に、よく調べられているオランダの文化をクロスさせていい作品になっています。固定観念は横に置いて読んでみると、元気を貰えると思いますね。