ゴミ処理所の近くにある小学校で働くことになった新任の小谷先生。一言もしゃべらない一年生の鉄三の心がわからずに涙をすることもあったが、ハエ事件をきっかけに鉄三の芯の部分に触れていく。また、転校生のみな子は変わった行動が多く、ほかのクラスメートはそれがストレスになっていた。それでも子どもたちを会話をし、歩み寄り、認め合うことで次第に心を通じ合うようになってきた。
そんな中、ごみ処理所の移転が決まり、そこに住む子供たちは強制的に移転させられることになった。先生が子供たちと同じ方向を向き、その先に見えたものとは・・・。
あとがきにも書いてありますが1974年の高度経済成長期に書かれた作品で、当然ながら今の時代背景とはことなります。風景描写にしても日常会話にしても現代と比べると違和感があるのですが、それでもこれまで先人が生き抜いた時代であり、現代と比べて生きるエネルギーのようなものを感じましたね。
また子どもの温かさについても随所に書かれており、みな子の世話をすると決断した淳一の言葉には学ぶところも多かったです。みんなで助け合うことが大事だと。
最初はバラバラだった目線が最後に向かって同じ方向を向くようになりました。
子どもたちも先生も。
向き合うのではなくて同じ方向を向くということが大事だと改めて感じましたね。