どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『ローカル線で行こう!/真保裕一』

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宮城県下のローカル線・もりはら鉄道は年間赤字2億円を出す廃線間近の鉄道会社だった。そんな赤字路線を立て直すために社長として送り込まれたのは篠宮亜沙美。彼女は新幹線のカリスマアテンダントだった。
鉄道どころか会社経営自体が素人の彼女に、県から出向している副社長の鵜沢やもりはら鉄道の社員は振り回されるが、それでも亜沙美の知恵と熱量に共感し、少しずつ鉄道も沿線の町も変わっていった。五か月で五千万円の黒字をたたき出した亜沙美だったが、一方でもりはら鉄道の周辺で不審な事件が重なり、謎が解明できないまま会社と地域の命運を握る「もり鉄フェスティバル」の日。
赤字鉄道の再生は?? 沿線の町の復活は? そして・・・。

面白かったですね。町おこし系の作品は起承転結がハッキリしていて、上手く行っていたことが急に暗転し、それを解決してハッピーエンドの流れになるのがほとんどなのですが、それを複雑に絡ませていて読みごたえがありました。

また亜沙美と鵜沢の2人の視点で書かれていたのですが、それも混乱することなく読むことができました。
会社の社員だけではなく、沿線の人たちや鵜沢の出向元である県の人たちのエールも見えた作品で、特に上司の陣野部長とのやり取りが良かったですね。

「おれは釘を刺したからな。あとは自分で考えてくれ。気を付けろよな。アカレンジャーさん」

こう言って去る陣野部長がカッコよかった。


また、かつて鵜沢と同じ立場だった小野塚のエールもグッとくるものがありました。
残り20ページからの盛り上がりがドキドキが止まらず、最終的に見事なまでのスカッとした読了を得ることができ、町おこし系の作品の中でもかなり面白い作品でしたね。