どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『日本人の勝算/デービッド・アトキンソン』

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観光関連の仕事が有名ですがゴールドマン・サックス時代に日本の不良債権の実態を調査したこともあり、今回も「人口減少」「高齢化」「資本主義」の観点から書かれていました。

日本は高い技術力がありながら生産性は世界レベルで見るととても低いというのはよく聞きますが、OECD諸国の「人材の質」ランキングでは日本はフィンランドノルウェー、スイス、に次いで4位でアメリカやイギリス、シンガポールよりも高いというのは知りませんでしたね。
また、デフレの方がサービスの値段が下がるので好まれがちですが、長期的に見ると企業収益も下がり給与も下がるので経済に悪影響を及ぼすというのは理解しています。長期的に見るとインフレの方がいいと。その中で、収入減が給料である若い人はインフレを好む傾向がある一方、65歳以上の高齢者層は資産は持っているが収入は少ないのでデフレを好む傾向があるというのも新たな学びでしたね。

一番気になったのは中小企業の統合による企業削減に対する記述。
M&Aにより企業が大きくなれば数の理論として設備や制度は拡充されるというのは理解できるのですが、あまりに大きくなると独占禁止法に当たる可能性もあり、当たらなくても適度に競争相手がいる環境がいいと思っています。

最後にもうひとつ。
日本はことあるごとにアメリカを比較対象にするのですが、アメリカの経済指数は世界的に標準ではなく例外であって、アメリカをベンチマークにするとデータが偏ると書かれてありました。
確かに人種のるつぼであり、それぞれの州によってオリジナルの州法があるアメリカという国を基準にするのは、あまりに環境が違いすぎますね。
また、新しい技術を導入したアメリカでは、労働者がやっていた従来の仕事を機械化したのではなく、新しい技術の効果を最大限に引き出すために、組織と仕事のやり方を技術に合わせて抜本的に変えたとあり、このあたりが日本の考え方と違うなと感じました。

解決策にも触れられていましたが、それでも日本が今後直面する課題を解決するのは簡単ではなくて、色々な意味で危機感を感じた一冊でしたね。