どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『プラチナタウン/楡周平』

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日本屈指の総合商社・四井商事の部長を務める山崎鉄郎は縁故採用を認めなかったことから出世の道を閉ざされた。やけ酒をした結果、泥酔して起きたころには大事件が発生。莫大な負債を抱える故郷の緑原町長の打診を承諾していたのだった。
想像以上にひどい環境の緑原町には己の利益だけを求める町議会議員に田舎特有の近さと固さ。そんな中、山崎が財政再建のために打ち出した施策は介護が必要となる高齢者を都会から緑原町に集めるというものだった・・・。

15年近く前の作品なのですが面白いアイデアだと思いました。
緩急が少なくてとんとん拍子に進みすぎなようにも感じましたが、民間と行政の両方の視点がバランスよく入っていたと思います。

山崎が町長打診について相談した牛島の「同じ駄目元なら、自分の考え一つで絵が描ける町長の方がよっぽど夢があんのと違うかな」という言葉がよかったですね。最後のエールも。こういう間柄はいいなぁと思いました。
また町会議員・鎌田のねちっこさに激怒した四井商事・渡部の啖呵の切り方もかっこよくてスカッとしましたね。映像で見たいくらいです(笑)

今でこそ民間企業で働いた人が地方自治体の首長になるケースは普通になりましたが、それも当時は斬新だったと思います。
初版こそ時が経っていますが内容は古くないので面白く読めました。