どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『一行怪談/吉田悠軌』

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題名のない一行に込められた文の中には、言葉で上手く表現できない怖さが含まれています。人間の本質的な怖さであったり、非科学的な怖さであったり、その内容は様々。200近い作品の数々が背筋を伸ばさせますね。
タイトルから内容を予想すると肩透かしをあいました。一行というよりも一文であり、内容も「あれ?これどういうこと?」と思わせるような作品が多いので万人受けではないです。自分もそうでした。

例えば「これより先は全ての駅が通過となります。この車内放送が流れ、もう二度と山手線から降りられない。」
この"降りられない"という言葉が意図する理由がテロ的なものによるのか、霊的なものによるのかはわかりません。ただただ"もう二度と山手線から降りられない"という言葉が恐怖をあおっていますね。

また「このあいだ山奥に捨てた知り合いが、五箱の宅配便で届いた。」
これは明らかにホラーかなと。"山奥に捨てた"もそうですし"宅配便で届いた"も日常的な光景ではありません。一瞬どういうことか考えてしまいますが、こういう作品なら本のタイトルとマッチしているなぁと思いました。

大喜利のような作品ではなくどちらかというと文学的な作品が多いので、そのつもりで読むとまた違った感想になるのでしょう。