どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『ニワトリは一度だけ飛べる/重松清』

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三杉産業の営業マンとしてそれなりの成績を上げていた酒井裕介が突然告げられた移動先は、左遷部署とよばれるイノベーション・ルームだった。
同じく異動となったのは同期の中でもトップランナーで走っている羽村、大阪支社の若手中川。そして彼らを迎えるのは定年間近の室長江崎。
何の意味も見いだせない作業としか呼べない仕事をしているある日、裕介のパソコンに謎のメールが届いた。題名は「ニワトリは一度だけ飛べる」。童話「オズの魔法使い」になぞらえて伝えようとしたことは? そして誰が何のために・・・。
徐々に目的と真実が明らかになっていった。


重松さんの作品で企業小説は読んだことがないので珍しいなと思いながら読みました。印象的に纏まってはいるものの、緩急の幅が弱いような気がして企業小説の軸でもあり重松作品でも軸である人間描写が薄かったような気がします。
単に企業小説のイメージが池井戸作品だからかもしれませんが。

それでも完全懲悪の内容なので最後はスッキリすることができましたし、読了後は青空を見上げたくなりましたね。
ラストシーンで軽口を叩きながら中川の元へ向かう羽村に、口元が緩んでしまいました。