小学校最後の夏を迎えようとしていた頃、ぼくは意気地なしで臆病な子供だった。
昭和の最後の夏、宏志・健太・陽介の三人組は勉強もできず、スポーツもできないクラスの落ちこぼれだった。そんな自分たちを変えるために「騎士団」を結成し、同じクラスのアイドル・有村由布子に忠誠を誓うことに。
誰かのために努力し、頑張ることで成長を遂げた三人組の目に映ったものは・・・。
毒舌家の著者からは想像できなかったくらい爽やかな青春小説でした。
決して背伸びをしているわけでもなく、あくまで子供目線で勉強に恋に向かう姿を書かれています。それが宏志だけではなく、うまく三人組や三人組に絡んできた壬生紀子の成長につながっているのもバランスが取れていて良かったですね。
"学校のグラウンド整備に使う思いローラーを動かすときは、最初が一番つらい。顔を真っ赤にして力を込めてもやっと数センチ動くかどうかだ。ところがそれが十センチ二十センチと動いていくと、ぐっと楽になる。"
"人は本気になったときには、わざわざそれを口にしないといことを初めて知った。"
人物像が絶妙に書かれていたのですが、百田さんの実話なのかなと思いました。大人になった三人組や壬生に会ってみたいですね。