『蜜蜂と遠雷/恩田陸』
芳ヶ江国際ピアノコンクールを舞台に複数の天才が奏でるピアノの音が絡み合う。自宅に楽器を持たないながらも常識から外れた演奏を行う16歳の少年・風間塵。 天才少女としてデビューしながらも母の死によって弾けなくなった栄伝亜夜。 楽器店に勤務するサラリーマン奏者・高島明石。 そして、完璧な技術と音楽性を持った優勝候補で19歳のマサル。 一次予選から始まった演奏が本選に進むにつれて勢いを増す。
音楽には疎く作中に出てくる楽曲はほとんど知らないのですが、そこはあまり気になりませんでした。
確かに、以前YouTubeのピアノ動画で、米津さんの「パプリカ」をかなり上手く弾いている人がおり、奏者によってこうも違うのかと思ったことがあります。
音、特に楽器の音を文字で表現するのは相当難しいと思うのですが、情景は十分に伝わってきましたね。
そういった意味で、「音楽は、常に「現在」でなければならない。」という描写が印象的でした。音楽は生き物だと。
また、コンクールが舞台なので基本は参加者にスポットライトを当てるのですが、この作品は審査員にもライトを当てていて、違った視点で飽きずに読むことができました。
最後はどのように順位を発表して終わらせるのか気になりながら読んでいましたが、キレイな終わりかたで「なるほどー。」と思いましたね。
映画化されていますが、映像で見たい気持ちと見たくない気持ちが交錯するような作品でした。