24歳の時に故郷を飛び出し、住み込みでアルバイトを始めた桃子さん。その後、周造と出会って結婚し、子どもを授かるが、やがて夫と死別。独りで生活するうちに内から外から聞こえてきた声は、桃子さんがたどり着いた孤独から来るものだった。
東北弁に馴染みがないからだと思いますが、内容がほぼ頭に入ってきませんでした。芥川賞らしい作品と言えばそうなのですが、どちらかというともったいなぁという印象です。
そんな中でも印象に残ったのは、桃子さんが「わたし」という言葉を使うか否か悩んだシーンですね。これまで使っていた「おら」という言葉を使うのを辞めることで、これまで生活してきた町や人とのつながりとかを全て裏切るようだというのが、かなり共感できました。
自分も「俺」という一人称を使ったことないのですが、たぶんそれも知らず知らずのうちに「俺」を使うことで自分が変わってしまうのではないかという違和感があったからだと思いますね。
作者の若竹さんは岩手の御出身なので、若竹さんにしか書けない作品だと思いますが、なかなか難しい作品でした。