テーマパークのファストパスや飛行機のビジネスクラスの優先搭乗から、温暖化に伴う二酸化炭素、保険、命名権など、あらゆるものが資本主義の中で取引されています。一方で、この事による問題点とそれが是なのか否なのかを判断するための道徳の限界について、わかりやすく書かれています。
あらゆるものが商品となってしまったせいでお金の重要性が増し、不平等の刺すような痛みがいっそうひどくなったとあるように、お金によって選択肢が増えることは間違いではないのですが、お金によって選択肢を増やすことがいいことかと言われると、ハッキリと答えられないですね。
その価値がわかる(評価をする)人と取引をすることは、資本主義の中では普通のことですが、それが良いことかどうか。
これに対して上がってくるのが道徳です。自国の二酸化炭素の削減量のカウントのために削減量を購買したり、お金を払って動物をハントしたりする事例がわかりやすかったですね。
市場の倫理が有形財の領域を乗り越える場合、それが満たす選好の道徳的価値を顧みず社会的効用をやみくもに最大化したくなければ「道徳を売買」するしかないとありますが、まさにそのとおりです。
道徳的にはよくないけど、間違ったことはしていないということに繋がるのかなと。
また、保育園で迎えに遅刻する親が多かったので、罰金を設けたらより遅刻者が増えたというのは興味深いです。核廃棄物処理上の事例も同じですね。罰金もインセンティブも適正値を見謝ると、それが商品になってしまいかねません。
最後に書かれていましたが、何でも買える世の中がいいのか、道徳や倫理がストッパーとなる時代がいいのか改めて考える必要があるでしょう。
学ぶ箇所が多すぎて付箋がほとんど貼れないくらい(全部に貼りたいくらい)の良書でした。