午前一時の大都会東京。眠らない街には様々な人の物語が流れていた。
映画の会社で「調達屋」をしているミツキは、「びわ」を探して来るように頼まれた。夜のタクシー“ブラックバード”の運転手松井と出会ったのはびわ泥棒。12の短編小説に綴られた物語が絡み合う。
短編小説の主人公が全て絡んでいて一つの作品になっているのですが、良くも悪くも凹凸のない作品といったイメージでした。何かしらの事件なり出来事が起こっているであろう夜の東京をものすごくシンプルに描くのは相当な技術がいると思うのですが、反対にそれは刺激が足りないというジレンマでもあります。
その中で気になったのがアヤノさんが作るハムエッグ定食。
夜に営業しているという定食屋はおそらく現実の東京にもあって、そのお店でもハムエッグは提供していると思うのですが、不思議とアヤノさんのそれは食べたいなと思いました。
夜の東京を至極シンプルに書いた名作だと思いますが、自分がその良さを理解するには若すぎたのかもしれませんね。