嵐の夜に浜で火を焚いて、近づいてきた船を座礁させて積み荷を奪い取る「お船様」。貧しい漁村が生き残る為に行う風習は、久しぶりに訪れた船を見た村人に歓喜の灯を宿した。積み荷がほとんどなく、乗組員はすべて死んでいるといういつもと違った光景だったが、それでも村人は乗組員が着ていた服をはぎ取って、皆で分けた。
それが悲劇の始まりだった・・・。
世界観の暗さは蟹工船を読んだ時と同じような印象を持ちました。現代は物にあふれた飽食の時代なので共感というよりも、ある種の気持ち悪さを感じたのですが、それも作者の力量なのでしょう。
40年近く前の作品ですが新型コロナが流行っている今の時代に読むべき本の一冊ですね。新型コロナの影響で、この作品のような壮絶な世の中にならないことをただただ願うばかりです。