どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『きみはだれかのどうでもいい人/伊藤 朱里』

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同期が休職したことによって県税事務所に異動になった中沢環。彼女の仕事は税金を滞納している県民に支払いを促すことだった。県税事務所には環の前任の染川裕未、ベテランのパート田邊陽子、規則を重要視して部署内の空気を引き締める堀、そして空気の読めないアルバイト・須藤深雪など、十人十色の女性職員が働いていた。
各々が自分の信念に基づいて業務をするなか、須藤へのフラストレーションが溜まる。そして須藤は体調を崩してアルバイトを辞めた。さらに彼女は県税事務所で働いていた数か月の記憶を失った・・・。

それぞれの視点で描く短編をつなげた連載になっているのですが、少しわかりにくかったように感じました。闇の部分が続いていたので無意識に理解することを避けていたのかもしれません。
ただし「人の記憶を消すのは、少なくともデータほどには、簡単ではない。」とあるように、大なり小なり葛藤しながら生きている姿をこれでもかというくらい書いてありました。

もう少し光が差してもいいかなと思いましたし、読了後が爽やかになる作品ではないのですが公務員や税という割と身近なことがテーマになっていたので、自身についても少しだけ見つめなおすきっかけになりましたね。