どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『団塊の後―三度目の日本/堺屋太一』

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東京オリンピックが終わってから5年後の2026年。日本経済は低迷していた。それを打開すべく声高らかに打開策を唱えたのは若き首相の徳永好伸。徳永の主張は「身の丈の国・日本」。それを実現するために核となる施策は「地方税財政の分配」と「道州制」。
一方、反対派の大阪府知事・杉下晋三久は、日本が世界のキーマンとして居続ける必要があると唱える。
明治維新、太平洋戦争と国難があるごとに生まれ変わってきた日本は再び新たな日本と生まれ変わるのか・・・。

オリンピックこそ2021年に延期になりましたが、「政治とカネ」を焦点とした参院選自民党が全敗するなど、ある意味で政治は過渡期に入っているのかもしれません。このままではいけない、何か変わらなくてはと漠然と思っている中で、多方面からの切り口があって面白かったですね。
移民を受け入れるための仕組みづくり、官僚の副業実施による本業の生産性の向上など、なるほどと思う事例が多くて、さすがに知識が広い人だなと感じました。

また「時期を捉えて、世の中の倫理を少し変えればいい。」という発言に、政治の裏にあるものを感じました。一見は実務的技術論だが、技術論から入って構想全体に反対するのは官僚の常套手段であるという描写も凄く的を得ていますね。

予測小説なので終わり方がどうなるのかなと思っていたので、少しボンヤリした内容だったようにも感じましたが、ちょうど今の時代に読むことができて良かったです。