ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見され、殺人の疑いをかけられたのは一人の少女だった。その少女の名前はキャサリン(カイア)・クラーク。6歳の時に家族に見捨てられひとりで生きてきた彼女のことを人々はこう呼んでいた。
「湿地の少女」
彼女に読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くも、大学進学を選んだ彼は彼女のもとから離れて行った。それでもひとりで生き続ける彼女に近づいたのは村の青年チェイスだった。自然の中で生活する彼女と湿地で見つかった男の死体。なぜ男は死んだのか。そして事件か事故か、その真相は・・・。
海外文学の割には読みやすかったように感じます。
むしろ各章の末尾に時折入っているアメリカンジョークのようなやりとりは日本人作家の手法ではあまり見たことがなく、アメリカらしいなと思いましたね。
他にも「つまらない男ほど騒がしい音を立てたがるものよ」といった母親の言葉であったり、"砂は泥よりも隠し事をするのに向いている"といった表現も良かったですね。
テイトとキスをしたカイアの心境を表した"生まれて初めて心が満ち足りる感覚を味わった"という表現も。
そして裁判所でトムが陪審員に言ったカイアのことを指す"湿地の専門家"という言い回しもいいなぁと思いました。
最後が意外な結末でしたが本の厚みの割にサクサクと読めて面白かったです。