とある女子刑務所の中にある美容室。一般の人も利用できるこの場所で髪を切っているのは受刑者である小松原葉留だった。なぜ彼女が服役することになり、さらには髪を切っているのか。葉留に髪を切ってもらった女性達との関りから見えてきた事実とは・・・。
美容室を取材することになった芦原志穂、母親が横領で逮捕されたモデルの一井彩、万引きを寸前のところで辞めたがどこか後ろめたさがある中学生の藤井史佳など、様々な女性がそれぞれの視点で葉留に髪を切ってもらいながら、物語が葉留に結びついていきます。
最後の最後まで葉留ではなく、その周りの人を中心に物語は進むのですが、それだけで葉留の人物像を表現しているあたりは見事でした。
また、長かった髪を切る一井に対してウィッグの提案をするなど、ただ髪を切るだけではなく違ったエピソードを交えるなど作品の幅広さを感じましたね。
中学生の藤井と刑務所長のやり取りがとても良かったです。思春期の大事な時に、どういう大人に出会えるか、改めて大切だと思いましたね。
繊細ですが面白さと美しさがあるいい作品でした。
自分は男ですが読了後は髪を切ってもらいたくなりました(笑)