敗戦と戦勝国による侵略によって傷ついたドイツの街でアメリカの兵員食堂で働いていた少女・アウグステに殺人の疑いがかけられた。相手はアウグステの恩人とも言える男であり、歯磨き粉に含まれた青酸カリによる毒物死だった。
アウグステは真相を追求するととも、彼の甥に訃報を伝えるために旅に出た。なぜか旅を一緒にすることになった元俳優のカフカは何者か・・・。男の死を伝えたNKVDのドブリギン大尉とベスパールイ軍曹の真意とは・・・。荒廃した街を舞台に様々な思惑が重なったドラマが始まった。
登場人物も多く、舞台となる国もドイツだけではないので迷子にならないようメモを書きながら読みましたが、物語に引き込まれるのでスラスラと読むことができました。日本人作家なのに外国人特有の言い回しを上手く使っていて、いいテンポでしたね。
"爆弾の炎がいかに街を焼き、醜い姿に変えようと、夏の青い夜は美しい。"
「あちらで話しましょう。ここは耳が多すぎるので。」
などの言い回しが好きです。
またアウグステの母・マリアの自殺が壮絶過ぎました。そしてここの表現力が圧巻ですね。母の強さも垣間見えた気がします。
ミステリーなのですが読了後は不思議な爽快感があります。それは本のタイトルに含まれる問いの答えなのかもしれません。
「ベルリンは晴れているか。」
ボリュームはありますが、とても面白い作品でした。