子供を産み、歳を重ねても女を追い求める母・登勢と、父違いで自分とは似つかない美しさを持つ妹・ユキ。二人の女性に翻弄される千歳は、平凡だが穏やかな夫・伸幸とマイホームを築き、望んだ人生を送っていた。
妹・ユキが家に転がり込んでくるまでは・・・。
出身の福山市を流れる芦田川を表題にした小説は、かなりの愛憎小説でした(苦笑)
内容のわりに読了後の不快感はそこまてでは無いにせよ、嫌な世界を見たといった印象ですね。昭和の時代が舞台であり、ここまでドロドロの人間模様は今の時代には無いと思うのに、そこまでの違和感が感じられなかったのはいつの時代も人間に潜む黒い部分を書いているからなのかもしれません。
帯にも書いてある登勢のセリフ。
「おまえのようなコチコチ女、本気で男に抱かれたことがあるのかい・・。」
実の娘・千歳に向けた言葉ですが、これだけでこの小説の核となる部分を伝えているあたり、力のある作家さんですね。
ただ、別の作品には手が伸びないかなと(苦笑)