東京ディズニーランドで派遣で働くことになった21歳の若者が、巨大テーマパークの裏で起こる大企業故の人間模様や軋轢に葛藤しながら成長する物語。人の夢と書いて儚いという通り、夢の国の裏には知らなくていい世界がありました。
もちろんフィクションなのですが、恐らく相当取材もされているでしょう。現実とフィクションの間で絶妙なポジショニングをしています。書かれているのはミッキーマウスのことではなく、それを取り巻く周囲の人間模様。大企業という組織と派遣社員という構図は、発行こそ10年前の作品ですがあまり古臭さがありません。
たぶん、こういう世界なんだろうと思います。違うとは思いますが。
また、"ミッキーマウスはアメリカの自由と豊かさの象徴であり、今をもって最大のスターであると同時に、外貨の稼ぎ頭でもあった。"という描写や、後藤が沼丘に啖呵を切った"ミッキーマウスはあんたらの物じゃないだろう!みんなの物じゃなかったのか!"というシーンが好きですね。
また、久川と門倉のやりとりも脇役でありながら良かったです。
青春小説とありますが、どちらかというと主人公の勧善懲悪のような感じもしますね。