どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『炭酸ボーイ/吉村喜彦』

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ライターとして働く真田事務所の涼太たちは宮古島で突如湧き出した天然の炭酸水の商品化に関わることになった。神の水とも呼べる炭酸水はプレミアム戦略のもと、「ミヤコ炭酸水」としてヒット商品となる。
そんな中、その甘い汁を吸うためにミヤコ炭酸水の販売元のグループ会社"イズミ食品"は炭酸水が湧き出た近くにリゾート施設を建設することに。神宿る村では自然を壊す建設内容に意見が真っ向から対立して、村も分断となった。
炭酸水や宮古島の美しい自然を守るために、涼太たちは賛成派と戦うことになった・・・。


奥田英朗さんの「サウスバウンド」しかり、浜口倫太郎さんの「お父さんはユーチューバー」もしかりですが、沖縄を舞台にした小説は外れがないですね。ボリュームは少ないのでサクサク読める分、展開は早いのですが盛りだくさんなので単調な感じはしませんでした。
個人的には涼太の恋愛の部分ももっと読みたかったなと思います。

また作者の言い回しが結構好きですね。
「クチコミが燎原の火のように燃え広がったのだ」という"燎原の火"という表現がカッコいいので、どこかで引用したいなと思っています。
他にも「権利と利権の素敵なダンスさ」や「敵が百人いたら、味方が百人いる」という表現もいいですね。"加部首相の主催する「桃を見る会」"というのも風刺が効いていてよかったです。

全体的に沖縄の県民性である温かさと島の自然の美しさをうまく表現されていました。
実際に宮古島に行って海を見ながら炭酸水を飲みたくなりましたね。