どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『お迎えに上がりました。 国土交通省国土政策局幽冥推進課/竹林七草』

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やっとのことで正社員に登用された第二新卒の朝霧夕霧が会社の入社式当日に告げられたのは、会社の倒産だった。また無職に後戻りかと落ち込んでいるなか、公園の掲示板で見たのは国土交通省の臨時職員募集。怪しいと思うも背に腹はかえられぬので連絡を取り、無事に採用された勤務先は国土開発の妨げとなる地縛霊を退かせる「幽冥推進課」。しかも上司を含めて同僚は全員妖怪。戸惑う中、様々な思いを持ってその土地に留まっている霊たちに、夕霧が心を開かせ始めた。

設定自体はよくある設定なのですが、出てくる地縛霊がみな悪霊ではないのでホラー要素は無かったように感じます。そういった意味で気楽に読むことができましたね。

基本的にはコミカルな内容なのですが、地縛霊の説得に時間が掛かるので期限を延ばしてほしいといった夕霧に対して、それによってスケジュールがズレる工事事業者のことをどう思うかと諭した辻上課長のシーンがシリアスで良かったです。

それだけではなく、仮に間に合わなかった時にはすべての責任を課長として負うといったのも良かったですね。
ドライアイを気にする同僚の百々目鬼さんのシーンは反対に笑ってしまいましたが(笑)

例え相手が地縛霊と言えども寄りそう夕霧の姿は本当の意味で、公務員の鏡だと感じました。