宮古島のゲストハウス「ゆいまーる」を経営している勇吾にはひとり娘で小学五年生の海香がいた。母親がおらず男手ひとつで育てた海香は絵を描くことが好きで、将来の夢は東京の美術大学に入ることだった。
そしてある日、勇吾は一大決心をした。
「俺はユーチューバーになる! 」
勇吾が下した決断に隠された真意とは? ゲストハウスに集まる人たちを通じて成長する勇吾と海香。YOU TUBEが届ける親子の姿とは・・・。
ノリでYOU TUBEを始め、それがある日バズって大ヒットし、収入が上がりだして人生の歯車が狂い始める。ここまでは予想できる内容だったのですが、物語はこの後に加速します。すべての登場人物がしっかりと生きていて、本を読んでいる途中でも「あれ?これ誰だっけ?」ということがありませんでした。
ゆーまーるで働く元気が海香の同級生・朋迦に言ったセリフがいいですね。
「失敗できることが、君たち子供の最大の特権なんだ。」
大人になるにつれて失敗を恐れるようになり、チャレンジをしなくなりました。そういった意味で、おじさんになってもユーチューバーとして新しいことを始める勇吾の姿は輝いて見えますね。
そして、家族愛と友情が素晴らしい作品で、もともと素敵な観光地でもある宮古島ですが、読んだ後はもっと行きたくなりました。