どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『タックスヘイブン/橘玲』

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東南アジアを拠点に多額の金銭を稼ぎだした投資家の北川がシンガポールのホテルで転落死をした。一方、スイスの名門銀行では行員の山之辺が失踪し、1000億円が消失。
難解な経済事件の解決と引き換えに高額の報酬を受けとる主人公・古波蔵、フリーの翻訳家で古波蔵の同級生・牧島と同じく同級生で北川の妻である紫帆と、警察、公安、政治家に裏世界の住人が互いに綱引きをする。
シンガポールを舞台に、各々が望むものと隠す秘密とは・・。

別著「マネーロンダリング」もそうですが金融や投資の知識が無い人間でも理解できる構成と、伏線だらけのストーリーはさすが橘さんですね。「マネーロンダリング」よりも生々しい描写がありますが、終始飽きずに緊張感を持ったまま読むことができました。

また、古波蔵のセリフがどれもカッコいい。東京地検の榊原が古波蔵との聴取に使った飲食代を自分で払うと言ったときの「日本国の税金で酒が飲めるとは思わなかった」や、スイスSG銀行のエドワードと駆け引きをするときの「塀の向こうに落ちたら、大好きなイングリッシュティーも飲めなくなるんじゃないのか?」といったセリフには痺れましたね。

後半に向かって緊張感が高まる理想的な構成で最後の落とし方も良かったです。
唯一の欠点は読了するのに結構体力を使うことなので、もう一度読みたいけど実際に読むのはもう少し先になりそうです。