どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『十六夜荘ノート/古内一絵』

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ロンドンで死んだ大伯母・玉青から高級住宅街にある古い洋館を遺された雄哉。ほとんど関係性のない自分に何故玉青が遺産を残したのか。しかも屋敷は「十六夜荘」と名付けられたシェアハウスになっており、どう見ても経営赤字。しかも住んでいるのは社会からはみ出したものばかり。玉青が赤字を出しながらもシェアハウスを運営し、そしてそれを雄哉に引き継いだ理由とは・・・。

雄哉の視点で書く現代と玉青の視点で書く過去が交互に章立てしてあります。
若くしてバリバリのコンサルで働き、資本主義の最前線を走る雄哉が十六夜荘の住人に出逢ってその考えを変えていくという、何となく予想できそうなストーリーでした。
雄哉の話は分かりやすく、玉青の話は分かりにくいので、雄哉→玉青→雄哉とある程度固まった状態での構成がよかったかなと思いました。

それでも最後の章の「本当の遺産」は良かったですね。新型コロナの影響で人に合えない日々が続いているのですが、人間性というか信頼というか、そういったものが垣間見えた気がします。

「顔を洗おうとすれば、無精髭が掌に刺さる。」という表現が好きです。