いじめを苦に自殺することを決意した少年・時田祥平が暴行を受けていた時に出逢ったのはピエロのペニー。祥平とペニーは一緒に加害者の殺人計画を立てることにする。
一方で、いじめを苦にして自殺した息子を持つ父親・風見啓介は、妻も亡くしたことをきっかけに息子の真相を探し始めた。
とあるきっかけで出会った二人が目指したものとは・・・・。ふたりが同じ空を見上げたときに見えたものとは・・・。
ピエロが物語のキーになっているのでSF的な要素を期待していました。
そういった意味で少し期待とは外れていたのですが、最後のシーンでそのモヤモヤは晴れましたね。ピエロが出てきた理由が上手くつながっていたように思います。
また殺害を決心したときの表現が秀逸でしたね。
"体はひどく痛むのに、心は晴れ渡っている。今まで揺れていた天秤が、一方に傾いたからだ。"
いじめをテーマにした小説をあまり読んだことがなく、読了後も少し沈んだ気持ちにはなりましたが、それでも重くなりすぎないあたり、作者のさじ加減が絶妙だったのでしょう。