どちらかと言えば、つぶあん派です。

はじめまして、よっさんと申します。1982年、広島県生まれ。「あひるの空」とゆずの「夏色」とチキン南蛮を愛する一児の父。瀬戸内を盛り上げるために日々奮闘するも、泳げないのがタマニキズです。

『線は、僕を描く/砥上裕將』

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両親を亡くした大学生・青山霜介が友人・古前に誘われてアルバイトに来たのは水墨画の展覧会の設営。設営後、運営側の水墨画家・西濱に誘われて水墨画を見て回ることになり、そこで出会ったのは大きな薔薇の画とそれを描いた篠田千瑛だった。
次第に水墨画に魅了されていった霜介は巨匠・篠田湖山に見いだされ、指導を受けることになるとともに千瑛と次回の品評会で勝負することに・・・。
水墨画を描きながら、破れなかった殻をやぶる霜介が見たものとは。

水墨画の知識は全くないのですが、それが全く苦にならないくらい丁寧に書かれた作品でした。そして何よりも美しい。
作品名に「線」とあるように、作中で描写される水墨画の一線一線が本当に美しくて実際にモデルとなった水墨画を見たくなります。
僕自身も書道を習っていたので割と墨に馴染みはあるのですが、今まで考えたことも無かった世界観に触れて、読了後は久しぶりに筆を持ちたくもなりました(苦笑)

「必ずしも拙(つたな)さが巧みさに劣るわけではないんだよ。」

全ての世界に通ずるとも言える湖山先生のこの言葉が印象的でした。