しがない場末のマジシャン・晴夫。一流マジシャンになれないまま35歳になり、結婚もできずお金もないまま、後輩のサワダは自分を追い抜いてテレビに出るようになっていった。
それでも晴夫はテレビのオーディションに参加をし、合否の連絡を待っていたところ、掛かってきた電話はテレビ局ではなく警察から。思いがけない電話と晴れた日にふいに起きた晴天の霹靂によって晴夫の運命が変わり始めた。
下積みが長かった劇団ひとりさんが故に、主人公・晴夫の苦悩を上手く表現していました。また作中に駆け出し時代のあの大物芸人さんが出てくるところも粋なはからいですね。
後半は少し突拍子がないようにも思えましたが、伏線も張った展開であり、そしてくどくないのでサクサク読むことができました。
人物像に厚みをつけてもう少しボリュームがあっても良かったかなとも思います。