「国宝・金閣寺焼失。放火犯人は寺の青年僧」
世間の人々を驚かせた衝撃のニュースの裏で若い僧が抱えていた生きることへの苦しみ。僧の将来と心を奪った金閣寺の魅力とは・・・。
金閣寺に奉公した若い僧の葛藤を軸に物語が進んでいますが、心理描写が凄いですね。特に金閣寺に向かって「いつかきっとお前を支配してやる」といったシーンが病的でなんとも言えない気持ち悪さがありました。
確かに金閣寺には他のお寺とは違う魔力のようなものを感じます。俗世間とは切り離されたもののようですね。
「金閣を私が焼けば、それは純粋な破壊、とひかえしのつかない破壊であり、人間の作った美の総量の目方を確実に減らすことになるのである。」という描写にあるように、禁じ手に対する快感が生まれるのでしょう。
三島作品は初めてでしたが、鬼才と呼ばれる理由がわかった気がします。