深夜のラジオ放送に熱中し、将来は映画監督を志した宮崎県の普通の少年"横山雄二"。広島の放送局のアナウンサーになり、次第に広島を代表する名物アナウンサーになるも組織で働くということに悩み、葛藤する日々。
悩んで泣いて笑って、両親に家族に愛情を注ぎ、愛情を注がれる"天才!横山雄二"の物語。
広島の人ならおそらく知らない人はいないであろう横山さんの自伝ともいえるべき作品になっています。アナウンサーだけあって文章もテンポよく、時には笑え、時には泣ける要素を上手く盛り込みながら書かれているのですが、横山さんも他の人と同じように悩んでいるんだなというのが印象的でした。
RCCの試験を受けるときに乗ったタクシーの運転手や、新しい番組の企画を持って行ったプロデューサーの門田さん、被災地を案内してくれた運転手の堀田さんなど、横山さんの両親や家族の他にも、人情味あふれる人が多くいて、それも横山さんの人柄なんでしょうね。
"バラエティなら面白い、情報番組ならためになる番組を作ろうとしている。でもそれが視聴率でしか判断されないので苦しむのだ。"という言葉はどの仕事にも通じるなと感じました。売りたいものと売れるものは違うのと一緒ですね。
また角川春樹さんと面会したときの最後の言葉も素敵ですね。
「退屈な大人になんかなるなよ」
読了後が爽やかで、本のタイトル通り、空を見上げたくなりますね。
明日もいい天気でありますように。