80年代後半、広島市民球場が、デビューしたばかりのユニコーンが、確かに息づいていたあの日。広島に転校してきた転勤族の桃郎は、同じ高校生の小麦に恋をする。
そして、小麦や小麦の憧れる由木野らと一緒に広島市民球場でフェスを計画するが・・・。 若い頃の悶々としたエネルギーをどこかにぶつけたいと思いながらも、壁にぶつかり、失敗し、立ち止まり。そして、また動こうとしてもがく。
そんな若者たちの物語がどこか物静かに書かれています。
こういった題材だと暑苦し過ぎるくらい暑苦しい話になりがちなのですが、この作品は先述のとおり、物静かに書かれています。
個人的な好みは暑苦しい方が好きなのですが、こういった展開もあるのだなぁと思いました。桃郎が小麦に対して「由木野さんの事が好きなんだな。」と聞くシーンは胸が痛くなりますね。相手が自分よりも何歩も先を行っているような人なら尚更でしょう。
ただし、もう少し爆発的な要素があっても良かったですね。広島への懐かしさはあるのですが、最後も少し盛り上がりがあればなお良かったです。